燃え上がるような復讐心。憎悪。
2人の間を長らく占めていた激しく冷たい感情は途絶えることなく続くのだと思われた。
少なくともカイムはそう思っていた。
思うことさえなかった。
少女を憎む気持ちはあまりに強く、冷めない怒りは死ぬまで続くはずだと。
荒々しい憎しみから始まった"贖罪の旅"。半身ともいえるドラゴンとの別れから数年。
世界が徐々に名ばかりの平穏を取り戻しつつある今もまだ、贖罪の旅は続いていた。
カイムは旅の間中一度として笑うことなく、マナも笑わなかった。
2人の間にあるのは優しい感情のない無言の会話ばかりで、
最初の頃のように激しい感情の行き交いはなくなっていても、そこにはいつも冷え冷えとしたものだけがあった。
カイムはそれを気まずく思うことはなかったし、それはマナも同じだろう。
この数年、2人にはそれがあまりにも当然のことになっていた。
なにをするときも同じで、マナは必要以上のことを口に出さず、カイムも今は必要以上の干渉はしていなかった。
ただ逃がさないように見張る。それだけだ。
けれど最近カイムは、時々なにか、物足りなさに似たようなものを感じるようになっていた。
カイムにはその正体が分からず、それについて考えることもなかった。
それはほんのわずか、カイムの心に過ぎるようなもので、はっきりと自覚できないほどに一瞬のものであったからだ。
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